第25章 彼らはもう寝た仲だ

「里緒さんのカップのお茶、もう冷めきってるじゃない」

重久の母が、怒りを噛み殺すように言った。

「熱いのに替えてあげようとも思わないの? 夫なんだから、そのくらい気が利かないと」

池川里緒は慌てて首を振る。

「お義母さん、大丈夫です。私、べつに――」

「手がないわけでもないだろ」

重久瑛介の声が、温度のないまま割って入った。

「冷たいのが嫌なら、自分で替える」

重久の母の顔が、かっと赤くなる。今にも言い返しそうな、その瞬間。

瑛介のスマホが鳴った。

彼は着信表示をちらりと見て、眉がわずかに動く。すぐ立ち上がると、通話に出ながら足早に玄関のほうへ向かった。

「瑛介!」

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