第28章 離婚しない

重久瑛介が身をかがめ、彼女に口づける。

怯えさせないように――そう思っているみたいに、ひどく慎重で。

「痛かったら言え」

「うん」

「気持ち悪くなっても言え」

「……うん」

瑛介は笑い、鼻先で彼女の鼻先をそっと擦った。吐息が絡み合い、熱で溶けそうになる。

「何でも言って。俺はゆっくり覚えるから。里緒はゆっくり教えて」

――あれは、新婚初夜のこと。

あんなふうに、彼女を壊れものみたいに扱って、甘く優しく抱いた男が。

今日みたいに、ベッドに押しつけて服を引き裂く男と――同じ人間だなんて、どうして信じられる?

どうして、こんなことになったの……?

池川里緒ははっと目を開いた...

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