第36章 少し違うような感じ

一方その頃。前谷明梨は眉をひそめながら重久綾斗に一通だけ返信し、すぐにスマホをしまうと、ぱっと笑顔を貼りつけて重久瑛介のそばへ歩み寄った。そして当然のように、彼の腕へ自分の腕を絡める。

重久瑛介に連れられて出席したこの晩餐会。ここに集まっているのは、名の知れた実業家か、各界の権力者ばかりだ。

――彼が約束を果たしてくれたのだ、と明梨は思った。

もっといい自分を「受け入れる場所」を、瑛介が用意してくれたのだと。

重久瑛介は知名度が高い。入場した瞬間から、次々と声を掛けられる。

明梨は彼の隣に立ち、にこやかに、その熱のある挨拶を受け取っていった。

この感覚が、たまらなく好きだった。

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