第43章 波乱ばかり

池川里緒は、ドアノブにかけた指先が一瞬で冷え切るのを感じた。

コンペに負ける可能性を考えなかったわけじゃない。盛高が最後にイエンを選ぶかもしれない――それだって、想定はしていた。

けれど。

まさか「盗作」の二文字が、自分に結びつくなんて。

あれは、いくつ夜を潰したかも分からない。どれだけ資料をあさり、どれだけ案を壊しては作り直したかも分からない。そうやって少しずつ、少しずつ削り出した、自分の血そのものだった。

そのとき、内側からドアが勢いよく開いた。

中浦優斗が片手で電話を耳に押し当て、もう片方の手を慌ただしくスーツの内側へ差し込みながら、苛立ちを隠さない声で言う。

「今から盛...

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