第54章 説明にも来ないの?

池川里緒が頭の中を真っ白にしたまま、何が何だか分からず固まっていると、隣の男がその気配に反応したらしい。ほんのわずかに眉をひそめ、それからゆっくりと目を開けた。

池川里緒の顔を認めた瞬間、重久瑛介の眼差しがすっと沈む。

彼は身を起こした。シルクの掛け布団が肩から滑り落ち、引き締まった上半身があらわになる。

彼女には目もくれず、そのまま布団をはねのけてベッドを下りた。

「起きたか」

朝の空気よりもなお冷たい声だった。背を向けたまま、床に散らばった服を拾い上げ、一枚ずつ無造作に身につけていく。

池川里緒は口を開いた。けれど喉はからからで、まともな声にならない。

重久瑛介はシャツを着...

ログインして続きを読む