第一百零五話

競売場の照明は、温かみのある白色だった。

人を圧迫するような白ではない。クロークにお財布を忘れてきてしまうような、そういう種類の温もりだ。

入場口で招待状をスタッフに手渡した。指は震えていなかった。でも、自分の心臓の鼓動ははっきりと感じていた——緊張ではない。扉の隙間から光が差し込んでくるのを見たときの、あの感覚。光が見えている。でも、まだ向こう側に立っていない。

凛人は私の左斜め半歩後ろを歩いていた。

「黒崎はもう配置についています」彼は私を見ず、声を低く抑えて言った。今夜は天気がいいですね、とでも言うように。

会場はザ・ペニンシュラ香港の大宴会場を改装した臨時オークション会場で、...

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