第一百零七話

個室のドアは、昔ながらの重厚な木製の扉で、隙間から温かな光が漏れていた。

凛人は私をドアの前まで送ると、そこで立ち止まった。

「大丈夫?」とも聞かず、「一緒に入ろうか」とも言わなかった。ただ、静かに私を見下ろして、こう言った。「ここからは、あなたの戦場だ」

私は小さく頷いた。

「俺はあなたの最後の砦だ」と彼は言った。「ドアの外で、待ってる」

私は扉を押し開けた。


蓮は窓辺に立っていた。

香港の湾が彼の背後に広がり、十二月の陽光が海面を白く染めていた。気配を察した彼が振り向き、一瞬だけ私と視線を交わしてから、手に持っていたファイルをテーブルに置いた。

「座れ」

私は座...

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