第一百零九話

写真は週刊誌のサイトに上がってから一時間も経たないうちに、リツイートが二万を超えた。

元麻布の新居のキッチンで、その通知を見た。窓の外にはまだ朝の光が完全には差し込んでいなくて、隅には凛人が昨夜置いていったコップが残っていた。コップの側面に、彼の指紋がついていた。

スマートフォンの画面を下にして、テーブルに置いた。

そのまま、約三分間、黙っていた。

怒りではなかった。クローゼットの一番奥から引っ張り出してきたような、古い疲労感だった。ああ、まだあったのか、と思った。

佐伯に電話をかけた。

「見ました」と、彼女は向こうから先に口を開いた。声は落ち着いていた。「どう対応しますか?」

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