第一百一十一話

鏡の前に立って、指が首筋で三秒止まった。

ピアスはシンプルなパールに替えた。シャツは白で、襟元は二番目のボタンまで留めてある。鏡の中の自分の顔を見つめながら、何か安心できるものを探した。

何もなかった。

「星音。」

凛人の声が扉の向こうから聞こえた。

振り返ると、彼の手に小さな天鵞絨(ベルベット)の箱があった。深い紺色で、角が少し擦り切れている。

「これは?」

彼は答えず、ただ歩み寄って、箱を開けた。

ペンダントだった。

細いシルバーのチェーンに、楕円形のサファイアが揺れている。周りを一連の小さなダイヤモンドが縁取っていた。宝石の色は深く、冬の夜の海のようだった。

「祖...

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