第一百三十二話

九条昭惠が選んだのは、赤坂にある老舗の茶室だった。

会議室でも、法律事務所でもない。茶室だ。

中に入ると、彼はすでに座っていた。七十代の男が、古い木材のように背筋を伸ばし、手元には手をつけていない煎茶が一杯。テーブルの上には書類も、秘書も、何もなかった。

彼は目を上げ、わずかに頷いた。「朝霧さん、どうぞ」

私は腰を下ろした。

茶室は静かで、外の街の音は厚い障子に遮られ、別の世界に閉じ込められていた。膝の上に手を置き、彼が話し始めるのを待った。

「回りくどいことは言いません」九条昭惠は煎茶を少し脇へ押しやった。「桂木光宗の件、あなたが何を握っているか、私は知っている」

「では」と...

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