第一百四十九話

生放送が始まったのは、夜の八時ちょうどだった。

佐伯は予定より十分早く到着し、ソファの端に腰を下ろして、タブレットをローテーブルの上に横置きにした。何も言わなかった。黒崎は玄関に近い壁際に立ち、背をもたせかけて、手をコートのポケットに入れたまま動かなかった。凛人は私の隣に座っていた。腕一本分の距離。彼も何も言わなかった。

画面の中では、会場の照明がまだウォーミングアップ中だった。

私はその光を眺めながら、心の中は凪いでいた。エイドリアンの名前はもう三度調べ直した。経歴、資金の流れ、基金会の主権声明をどう迂回しようとしているか——全部佐伯のファイルに入っている。白紙黒字。彼が何をしよう...

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