第十五話

あの瞳には、言葉では言い表せない何かがあった。

敵意でも、嘲笑でもない。

虚ろさだ。

まるで心の奥底に細い亀裂が走っているのに、本人はそれに気づいていないような、そんな目だった。

私たちは一瞬だけ視線を交わした。

それから私は背を向けて、歩き去った。


蒼太は閉まったドアをじっと見つめたまま、指をタブレットの画面の上で止めていた。

さっき、見てしまったのだ。

お母さんが、あの男の子の手を引いて、隣の病室に入っていくところを。

お母さんはしゃがんで、その子の布団の端を丁寧に折り込み、温かいミルクを差し出した。

そして笑った。

蒼太がよく知っている笑顔だった。

昔...

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