第一百五十三話

《未名》が舞台の上にあった。

司会が参加者名を読み上げた時、アドリアン側の名前は「瀬名湊」だった。その名前を私は今夜初めて聞いた。業界のどの記録にも、どのアーカイブにも存在しない名前だった。

照明の下で、その作品の輪郭が浮かび上がっていた。

昨夜から知っていた。でも、実物を見るのは別のことだった。母が一度も公開しなかった形制が、今、世界中の視聴者の前に晒されている。

私は参加者席の端に座り、両手を膝の上に置いたまま、その光景を見つめた。隣に凛人がいた。

舞台上で瀬名湊は話し始めた。

その声は静かで、意図的に磨き上げられた落ち着きを帯びており、何度も練習したかのようだった。繁星があ...

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