第十六話

葵の家に戻ったのは、すっかり日が落ちてからだった。

カーテンを引いて鍵を二度確かめ、それからベッドの下に手を伸ばして古い鉄製のボックスを引き出した。中には七年分の創作過程稿と、IDCへの告発資料と、今日組織委員会から受け取ったばかりの受理回執が入っていた。

「何してるの?」葵がドア枠に寄りかかって、缶ビールを二本ぶら下げたまま言った。

「蓮が法廷で負けそうになったら、証拠を消しにくる。」私は書類を一枚ずつ広げながら、トランプを並べるように丁寧に並べていった。「ここの住所はもうネットに晒されてる。原本がどこにあるか、彼はきっと嗅ぎつける。」

葵の顔色が変わった。缶ビールをテーブルに...

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