第一百六十四話

応接室のドアは、完全には閉まっていなかった。

隙間から廊下の光が差し込んで、長椅子に座って待つ日向の小さなシルエットも見えた。彼は動かなかった。校門をくぐってからずっとそうだった——背筋を伸ばし、手を膝の上に置き、床のどこか一点を見つめたまま、まるで結末をとっくに知っている裁判を待っているかのように。

あの子を、もうこの部屋に入れたくない。

それだけは、はっきりわかっていた。

佐伯弁護士が書類鞄をテーブルに置いた。動作は静かだったけれど、その音は応接室の中でやけにくっきり響いた。向かいには担任の田中先生、その隣には学校側が呼んだ教務の担当者、そして——昨夜、黒崎がすでに身元を確認してい...

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