第一百六十五話

会談室のドアは閉まっていた。

私は受付室の窓際の椅子に背筋を伸ばして座りながら、廊下の奥にあるドアから目を離せずにいた。

凛人は私の左側にいた。佐伯弁護士は右側に。黒崎はドアのそばに立ち、スマートフォンの画面をずっと点灯させたまま、入室してからずっとポケットにしまおうとしなかった。

日向は廊下の向かいのベンチに座っていた。

泣いていなかった。それが一番胸に刺さった。六歳の子どもが、居残りさせられて、保護者を呼ばれて、廊下で二時間近く待たされているのに——泣いていなかった。ただ両手を膝の下に押し込んで、床のタイルの一枚を見つめたまま、微動だにしなかった。

私は怒っていた。

日向に対し...

ログインして続きを読む