第十七話

私はそのメッセージをじっと見つめ、指を画面の上に長い間かざしていた。

それから返信した。「止めなくていい。このまま提出させて。高く登れば登るほど、落ちたときの痛みも大きいから」

送信。

スマートフォンを胸に当て、目を閉じた。

窓の外、中目黒の夜は静かだった。でも私にはわかっていた。この戦いのどこかで、誰かが偽のスケッチブックを手に、自分が勝ったと思っている。

私の手の中にあるのが、本物の刃なのに。


翌朝、警視庁。

黒田刑事の執務室は狭く、書類と飲みかけのコーヒーカップで埋め尽くされていた。彼は一束の写真を私の前に押し出した。監視カメラの静止画像。葵の家がある通りから黒...

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