第一百七十二話

凛人が「明後日」と言ったとき、私はワークスペースの机に散らかった下書きを片づけているところだった。

すぐには答えなかった。

彼が何を計画しているか、私にはわかっていた——というより、ずっと前からわかっていた。夜中にそっと出ていく足音、声を潜めて話す電話、黒崎と目が合うたびに彼の口元に浮かぶかすかな弧。わからないはずがなかった。

ただ、あえて突かなかった。

ある種の期待は、完全な形で待たれる価値がある。

だからあの朝、蓮からのメッセージがスマホの画面に現れたとき——「代官山、午後二時、直接渡したいものがある」——私は折り返して、弁護士は同席するのかと聞いた。

「要らない」と彼は言った...

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