第一百七十六話

婚約の知らせは、翌朝七時に広まった。

凛人が事前に根回しをしていたのは知っていた。それでも、通知が次々と画面に流れてくるのを見ていると、一瞬だけ、ぼんやりとした気持ちになった。胸が高鳴るというわけではなく——もっと静かな、「気づけばここまで来たんだ」というような感覚だった。

「彼女は、それに値する」

「最高の人に、最高の人が寄り添う」

「朝霧星音さん、おめでとうございます」

スマートフォンの画面を下にして、テーブルに置いた。台所へ行って、お湯を沸かした。

財団と業界協会の連名祝電が届いたのは、午前九時だった。文面は丁重で、末尾の署名は整然としていた。二度読んで、ようやく気がついた...

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