第一百七十八話

黒崎のフロー表がリビングのホワイトボードに貼られていて、びっしりと、一分単位まで正確に書き込まれている。

彼はホワイトボードの前に立ち、手には赤いマーカーを握って、どんなビジネス交渉よりも真剣な表情をしていた。

「入場十五分前、全員配置につく」彼は三行目を指して、「梅さん、ゲストの誘導はあなたに任せます。日向、指輪ボックスの位置は――」

「練習しました」日向はソファから顔を上げ、その深い青のボックスを胸に抱えた。「十回目です」

「もう一度」

日向はため息をついたけれど、それでも真面目に立ち上がり、ボックスを胸に抱えて、虚空にいる凛人に向かって一歩ずつ歩いていく。

梅さんはダイニング...

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