第十八話

帝国ホテルの最上階へと続くエレベーターを降りると、大理石の廊下が静かに伸びていた。ヒールが床を打つたびに澄んだ音が響き、これから始まる対面のための前奏曲のようにその音は廊下の奥まで届いた。腕時計に目を落とすと、約束の時刻まであと二十分——早すぎることはわかっていたが、それも計算のうちだった。東南角のティーサロンを指定したのは星音自身で、三面がガラス張りのその部屋を選んだのには明確な理由があった。午後の陽光が遮るものなく差し込み、影の落ちる余地などどこにも存在しない。隠れる場所を作らない明るさ——それが星音の意図だった。

案内された席に腰を落ち着けると、彼女は玉露を一壺だけ注文した。菓子...

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