第十九話

黒崎誠が立ち上がり、パパラッチに向かって歩いていった。

足取りは速くない。

でも一歩ごとに、無視できない重みが滲み出ていた。

逃げようとしたパパラッチだったが、ティーサロンの出口は一つしかない。

カメラが、黒崎誠に奪われた。

「尾行、つきまとい。すでに警察に届け出ています」

雪萌は凍りついた彫像のように、微動だにしなかった。

彼女の計画は粉砕された。あまりに完璧に——音一つ立てずに。

私は立ち上がり、没収されなかったスカーフを手に取って、バッグの中にしまった。

「いつか必ず、あなた自身の手で、このスカーフを巻く日が来る」

踵を返した。

出口まであと一歩のところで、足を...

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