第二十四話

ドアベルの音で目が覚めた。

神崎家の正門ではない。地下駐車場の脇扉――凛人と黒崎誠だけが知っているはずの場所だ。

松葉杖をつきながら窓辺に歩み寄り、カーテンの端をそっとめくる。路地の入り口に黒いレクサスが停まっていた。ナンバープレートの半分が、わざとらしく泥で塗りつぶされている。車のドアに寄りかかる人影が見えた。濃いグレーのコート、ノーネクタイ、朝風に少し乱された髪。

東雲蓮だった。

彼は手首を持ち上げ、時計に目を落とした。それからまっすぐ脇扉へ歩いていき、ドアベルを押した。

私は動かなかった。十数えると、もう一度ベルが鳴った。

「朝霧様、」階下から使用人の声が上がる。「お客様...

ログインして続きを読む