第二十六話

雪萌の「病」は、これ以上ないほど絶妙なタイミングで現れた。

チャリティーディナーの夜、彼女はアイボリーホワイトのトレーンドレスを纏い、壇上でスピーチをしていた。話の途中で、突然マイクスタンドに手をかけ、身体がふらりと揺れたかと思うと、そのまま静かに崩れ落ちた——まるで風に折られた一輪の花のように。

会場が騒然となった。救急車、フラッシュの閃光、生中継のカメラ。担架の上に横たわる雪萌の顔は、白磁のように血の気を失っていた。彼女のマネージャーがカメラの前で声を詰まらせた。「白河さんはずっと我慢していたんです。みなさんに心配をかけたくなくて……」

翌日、診断書が蓮の書斎の机の上に置かれてい...

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