第三十二話

午前三時四十七分、東雲邸の書斎にはまだ灯りが灯っていた。

蓮は絨毯の上に座り、書き机の引き出し棚に背をもたれていた。ネクタイはほどけ、シャツはくしゃくしゃに皺が寄って、まるで丸めて捨てられた反故紙のようだった。手には青磁の薬碗を握っている――台所から持ってきたもので、薬をやめてからずっと流し台の隅に置かれたまま、薄く埃をかぶっていたものだ。彼はそれを洗った。指先で碗の底にこびりついた薬の残滓を一点一点剥がし取った。褐色の、当帰と川芎の苦みを含んだ匂い。その匂いが鼻腔に忍び込んだ瞬間、胃がひくりと引き攣った。

桐生がまとめた資料が床一面に広がっていた。

彼はあるページを開いた。「蒼太...

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