第四十二話

蓮と凛人の面談は、雨の降る午後に行われた。

場所は神崎家の応接室——凛人のホームグラウンドだ。蓮が入ってきたとき、その身体にはまだ雨の湿気が漂っていた。弁護士も、秘書も連れていない。彼一人だけだった。

凛人はソファの向かい側に腰を下ろし、テーブルには二つのコーヒーカップが置かれていた。立ち上がることもなく、ただ軽く頷いてみせる。

「東雲さん」

「神崎さん」蓮は座り、コーヒーには手を伸ばさなかった。「今日伺ったのは、ある取引の件です」

「取引?」

「HeliosCapitalが東雲系プロジェクトへの狙い撃ちから撤退する」蓮の声は平坦で、まるで財務報告書を読み上げているようだった...

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