第四十七話

日曜日の夜、東雲邸の書斎。

蓮は書き物机の前に座り、手元には一枚の書類が広げられていた。入札書ではない——彼の名義にある不動産、株式、信託を網羅した資産一覧表だった。桐生は向かいに立ち、その表情には珍しいほどの緊張が滲んでいた。

「旦那様、」桐生が口を開いた、「ご指示の通り、東京湾再開発プロジェクトの入札最低価格を修正いたしました。新しい書類は右手の二番目の引き出しに入れてございます。鍵はお手元に」

蓮は顔を上げなかった。指先が紙面の上をゆっくりと滑り、ある一行の上で静止した。

「古い版は?」

「処分いたしました。電子データは完全消去、紙の原本はシュレッダーにかけました」

「よ...

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