第六十四話

幼稚園からの電話は、木曜日の午後にかかってきた。

アトリエで原稿を描いていた。ペン先が紙の上でさらさらと音を立てていた。凛人がドアを開けて、言った。「担任の先生から、お越しいただけないかと。」

「何の件?」

「蒼太くんのことで。」彼は言った。「お友達との間で、少し。」

ペンを持つ指が、静かに力んだ。


柏木先生の応接室には、三人がいた。柏木先生、蒼太、そして目元が赤い男の子。

殴られたわけじゃない。泣いたあとの顔だった。

「朝霧さん、」柏木先生が言った。「喧嘩ではありません。今日の休み時間に、何人かのお子さんが週刊誌の写真を持ってきて、蒼太くんに、いくつかのことを言っ...

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