第七十二話

判決文書が届いたときの儀式感は、想像していたよりずっと軽かった。

佐伯がいた。凛人もいた。蓮の弁護士は来なかった——全権委任状にサインして、「彼女がサインする部屋には現れたくない」と言ったらしい。

私は自分のアトリエで受け取った。法廷でも、東雲家の邸宅でもなく、「朝霧星音」という名前が属している場所で。南向きの窓、壁いっぱいに貼られたデザイン稿、作業台には昨夜描きかけた六芒星のラフが広げられたまま。配達員がドアを開けて入ってきたとき、外の熱気と一緒に、短い夏の風が流れ込んできた。

受取票が机の上に置かれた。隣には、すっかり冷めたコーヒーがあった。凛人は向かいのソファに座って、雑誌を...

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