第八十一話

九月の第二週、月曜日。

雪萌の裁判、第一回公開法廷。

私は傍聴席にいなかった。佐伯が確保してくれた原告補助席——被告席の真正面に、私は座っていた。

法廷の中は人で溢れていた。記者、フリーライター、スケッチブックを持った美大生まで——雪萌が出廷する時の「造形」が、すでにある種のパフォーマンスアートとして期待されているらしかった。

雪萌が連れられて入廷した瞬間、場内が一秒、静まり返った。

彼女が着ていたのは深いグレーのスーツ——囚人服ではなく、弁護団が事前に用意した自分の服だった。髪は低い位置でまとめられ、アクセサリーは小さなパールのイヤリングだけ。メイクは薄く、一週間、日の光を浴...

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