第八十八話

ジュエリー展の開幕前夜。

アトリエは神宮外苑近くの古いビルの中にあった。Ravenが貸してくれた場所。南向きの窓、壁一面に貼られた設計図、作業台の上には明日展示する三十七点の作品が置かれていた。どれも黒いベルベットのトレイに載せられ、頭上から照明が降り注いでいる。三十七個の、点灯を待つ星のように。

私は最終チェックをしていた。一つ一つ番号を確認し、照明の角度を調整し、展示札の位置を確かめる。Ravenが言っていた。展覧会のすべてのディテールは作品の一部だと。手を抜いてはいけない。

深夜二時、警報が鳴った。

あの音は普通のチャイムじゃなかった。防犯システムの甲高い警笛。高音で、持続的で、...

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