第108章

彼に導かれるまま、今まで気づかなかった小道を進んでいく。緑豊かな草木を抜けると、小さな開けた場所に出た。そこには着陸パッドがあり、流線形の黒いヘリコプターが鎮座していた。

「冗談でしょ」

アレクサンダーはにやりと笑った。「いや。島を見るにはこれが一番だ」

「ヘリコプターなんて、乗ったことない」

「何事も初体験はつきものさ」彼は私を機体の方へ促した。そこではパイロットが待っていた。「おはよう、ジャクソン」

「カーター様。奥様」パイロットは丁寧にお辞儀をした。

アレクサンダーは私が助手席に乗るのを手伝ってから、ヘッドセットを渡してくれた。「これを着けて。そうすれば話せる。ローターはかなりうるさいか...

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