第115章

エミリアのしつこさに、私は笑みをこらえながら呆れた表情をしてみせた。「たぶん、彼が私に惚れちゃって、今じゃ私が結婚してるなんて信じられないのよ。彼にとっては損な話ね」

「まさか」エミリアはワイングラス越しに鼻を鳴らした。「あの男はあなたが結婚したことに驚いたんじゃない。あなたがアレクサンダー・カーターと結婚したことに驚いたのよ。それじゃ意味が違うわ」

「どういう意味?」

「つまりね」彼女は悪だくみをするように身を乗り出した。「ジェームズ・ウェストブルックは、あなたに会った瞬間からあなたのことを調べてたってことよ。ああいう男はバーで手当たり次第に女に声をかけたりしない。彼はあなたが何者で、どこで...

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