チャプター 16

彼の目が細められる。「俺のことを分かったつもりか? 一度助けて、一度食事しただけで?」

「本当に愛なんて無意味だと信じている人なら、愛から自分を守ろうと必死になったりしないはずよ」

アレクサンダーの顎に力がこもる。一瞬、踏み込みすぎたかと思った。

「面白い女だな、オリヴィア・モーガン」と、彼がようやく口を開いた。

「それ、褒め言葉?」

「観察結果だ」彼の唇が、腹立たしい半笑いの形に歪む。

私は手すりを強く握りしめ、冷たい金属の感触で自分を落ち着かせようとした。眼下には夜空を映した鏡のように街の灯りがきらめいているのに、私の意識はアレクサンダーの体から放たれる熱にしか向かない。

「二つ、聞きたい...

ログインして続きを読む