チャプター 178

その建物は、会員制の高級レストランだった。支配人らしき男性がアレクサンダーの名前を呼んで出迎え、薄暗い店内を抜けてプライベートテラスへと私たちを案内した。そこにはテーブルがひとつだけ用意されており、周りにはキラキラと輝くフェアリーライトと鉢植えのオリーブの木が飾られていた。

「カーター様、ご要望通りお席の準備が整っております」

「ありがとう、ミゲル」アレクサンダーはそう言うと、私のために椅子を引いてくれた。

席に着いた瞬間、目の前に広がる景色に私は圧倒された。ロサンゼルスの街全体が眼下に広がり、光の海が地平線まで続いていた。

「アレクサンダー、ここって……」私は言葉を探して、語尾を濁した。

「...

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