第123章

 ダイアナは席を立ち、ノートパソコンの入ったバッグを手に、機内後方の化粧室へ落ち着いた足取りで向かった。

 中に入ると鍵をかけ、鞄から小さな金属製のカートリッジを取り出す。精密機器の洗浄に使う、高濃度エタノールのスプレーだ。

 洗面用具の予備のラテックス手袋をはめ、封をしたビニール袋を慎重に取り出した。白い粉を便器の中へ、残さずすべて空ける。

 すぐには流さず、便器の中へエタノールをほとんど一本ぶち込んだ。透明な液体の中で粉がみるみる溶け、変性していくのを見届けてから、ようやく流すボタンを押す。

 ビニール袋の内側も外側も、手袋も、エタノールで入念に拭き上げた。指紋も痕跡も、何ひとつ残...

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