チャプター 138

ゼラの甥に仕える若い従者は、毒を薬瓶へ垂らそうと手を構えたその瞬間、戦術用の手袋をはめた大きな手に、鉄の万力のような握力で手首をつかまれた。

相手がどこから現れたのか、彼には見えなかった。ただ、手首に鋭い痛みが走り、腕全体が一瞬でしびれて力が抜けていくのを感じただけだ。

叫ぼうとした刹那、別の手が口を塞ぎ、凄まじい力で後ろへ引きずられた。

首の後ろへ無音の一撃。抵抗する暇もなく、彼は崩れ落ちた。

影の中から黒装束の二人が姿を現した。鍛え抜かれた動きは正確で、足音ひとつ立てない。

片方が気絶した従者を小麦袋のように引きずっていく。

もう片方は証拠採取用の器材を手際よく使い、温度管理ボ...

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