チャプター 169

アラリックは自分の口調が厳しすぎたことに気づいたらしく、いつもの調子に戻した。声にもまた、ふざけたような軽やかさが戻る。

「君はいまやラッセル家の宝物だ。君に何かあったら、目を覚ました兄貴に俺は生きたまま皮を剥がされる」

一拍置いてから、半分冗談めかした、間延びした声で付け足した。

「それにさ。君のちっちゃな崇拝者としては、『白馬の騎士』を演じるチャンスは残しておきたいだろ?」

ダイアナは小さく相槌を打ち、通話を切った。

白馬の騎士?

彼女に騎士など要らない。

けれど不意に思う。もしその「騎士」とやらが彼なのだとしたら……それはそれで、そこまで拒むほどのものでもないのかもしれない...

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