チャプター 182

ダイアナは振り返らなかった。

エンジンをかけ、車載システムを起動する。スピーカーからアテナの声が流れた。

「ヨーク様、プロメテウス第一相臨床試験プロトコル最終版は、倫理委員会の予備審査を通過しました。関連書類はすべて受信箱へ送付済みです」

「了解」ダイアナはそう返し、アクセルを踏み込んだ。

車は滑らかに市街地の流れへ合流していく。

―――

誕生日祝賀会の会場であるスカイピーク・エステートは、邸宅というより、山頂に浮かぶ宮殿だった。

山道沿いには、三十フィートごとに黒いスーツの警備員が立ち並ぶ。その背後には、几帳面に刈り込まれた植栽の壁。無数の小さな灯りが埋め込まれ、そこに「プロメ...

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