チャプター 20

男の視線がブロディを一瞥して通り過ぎたが、答えは返さなかった。代わりにイドリスへ向き直る。穏やかなはずの眼差しが、なぜかイドリスの胸に言い知れぬ不安を芽生えさせた。

「いつから、この競売場の規則は部外者が決めるようになった?」

そうブロディに告げても、声色には喜びも怒りも滲まない。

男はわずかに首を傾け、仮面の奥の視線をディアナへ落とした。そこには、誰ひとり割り込めない奇妙な親密さがあった。

イドリスの表情が固まる。男の素性は分からない。だがブロディの態度と、現れた者の圧倒的な威圧感が物語っていた――ただ者ではない。

必死に平静を装い、イドリスは言った。「私はただ、ジェンキンス氏のお...

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