チャプター 208

「ユリウスの、この一か月分の連絡履歴と金融取引をすべて抽出して」

「命令を受領。解析を開始します……」

数秒後、画面には明瞭な報告書が表示された。

ユリウスは嘘をついていなかった。

提示された条件は確かにコルヴァンティス・バイオファーマからで、その内容も実際に心を揺さぶるほど魅力的だった。

だが、彼は中核データを持ち出すことはできない――研究所の機密保持契約と技術的障壁は、突破不能と言ってよかった。

引き抜きの狙いは技術そのものではない。これは挑発だ。

相手はユリウスが、彼女にとって大切な人材だと知っている。崩したいのは技術ではなく、チームであり、信頼なのだ。

ダイアナは無表情...

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