チャプター 212

会議ホールで、リチャードの天文学的な条件を突きつけられても、ダイアナはただ、指先で彼の名刺をくるりと弄んだだけだった。

「ミラーさん」やがて彼女は静かな声で言った。「主任研究員のジュリアス・ウッドは、最近どうしているの?」

リチャードの笑みが、わずかに引きつった。

「それから、前に『ヘルメス』の臨床データを改ざんするのに使った社内ソフト、致命的な脆弱性が十七個もあるわ。私があなたなら、また汚い真似をする前に、情報システム部に言って防火壁を更新させるけど」

そう言うと、ダイアナは名刺をそっとリチャードのスーツの内ポケットへ戻した。「お誘いはありがとう。でも、負ける側に加担する趣味はないの...

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