第二十三章

「本社移転」という言葉がルパートの口を出た瞬間、会議室は墓場のような沈黙に沈んだ。

セレストリア事業を統括する副社長が、喉を絞り出すように言った。「ラッセル会長……レガル・シティは世界金融の中心です。うちの取引の六割はスターリング・ロウに直結しています。本社をインペリアル・シティへ移すなんて、自殺行為ですよ」

「全面移転ではない」ルパートが訂正した。「移すのは戦略意思決定の中枢、基幹研究開発、グローバル・データセンター、それと俺の執務室だけだ」

全員が息を呑んだ――むしろそっちのほうが始末が悪い。帝国の脳と心臓を、根こそぎ引き抜くに等しい。

「ラッセル会長、時間が必要です」法務部長が神...

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