第247章

ダイアナはその熱気を受け流し、視線には確かな焦点が宿っていなかった。

そのとき、群衆が当然のように割れ、一本の通り道が生まれた。

ルパートが近づいてくる。

濃色のスーツにネクタイはなく、第一ボタンを外している――場の客人たちがことごとく隙のない装いをしているなかではむしろ気楽な格好だ。だが、彼からは規則の一切を超えてしまう気配が立ちのぼっていた。

彼はまっすぐダイアナの隣へ歩み寄り、そこで足を止めた。

名の知れたヴァレリアの製薬王が、勢いよくグラスを掲げてダイアナに向けた。「ヨーク教授に乾杯! あなたの才覚は人類の宝だ!」

ルパートは不快の色ひとつ見せない。

通りすがりの給仕のト...

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