チャプター 251

フランクは口を開けては閉じ、言葉が喉の奥に引っかかったまま動かなかった。

欧州中央銀行総裁との会談を――自分に任せろ、というのか?

「わ……わかりました。すぐ取りかかります」フランクはよろめくように執務室を出た。手足がまるで他人のものになったみたいで、いまの自分には「愛」というものの本当の代償を、いちど計算し直す必要がある気がした。

世界講演ツアー、その第一の目的地――ブラストン。

出発前夜、専用機は滑走路脇のエプロンで、いつでも飛べる状態で待機していた。

ルパートは積まれた荷物の脇をすり抜け、独立した更衣室へ入る。

一見するとただの戸棚を開けると、中には温度管理された収納ユニット...

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