チャプター 286

あの日以来、「チェロの稽古」は〈ノア零一〉の船内における新しい時間単位になった。

「この報告書、期限は?」

「ラッセル氏の次の稽古が始まる前まで。」

「了解。今から徹夜でやります。」

ある晩、ダイアナはルパートが絵を習い始めているのを知った。

生態ベイから戻る途中、かつて最高戦略戦争司令室として使われていた部屋の前を、たまたま通りかかったのだ。

扉はきちんと閉まっていなかった。ダイアナは、巨大なイーゼルの前に立つルパートの姿を見た。

キャンバスは、目も当てられない惨状だった。

絵の具は雑に盛り上げられ、青と黄がうっかり混ざって、濁った汚い緑になっている。

海の景色を描こうとし...

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