第二百九章

ダイアナが不意に口を開き、本の頁をめくった。

オスカーの声が、そこで唐突に途切れた。

会議卓にいる全員が息を呑む。

「ヨークさんのおっしゃる意味は……」オスカーがおずおずと訊ねた。

「熱帯雨林のカエルの鳴き声や虫の音は、静けさを必要とする思索者の妨げになる。クリムゾン・クリスタル湖のフラミンゴ――糞が土壌の酸性度を変えて、周囲の植生に影響する」

ダイアナの声は落ち着いていた。「良い環境というのは、何よりもまず、侵入してこないことよ」

ルパートは書類を置き、オスカーを見た。「聞いたか?」

オスカーの背中に冷や汗が滲んだ。

すぐに理解した。

ダイアナは案を否定しているのではない―...

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