チャプター 30

もう一つの腕が鉄の万力みたいに彼女の腰へ回った瞬間、ダイアナはぐいと後ろへ引きずられ、扉の陰の闇へと閉じ込められた。

幅広く熱い胸板が背中に強く押し当てられ、はっきりと男の匂いが彼女を包む――乾いたシダーウッド、夜気、そして微かな血の気配。

その匂い……。

ダイアナの瞳孔がきゅっと縮む。アラリックだ!

「動くな」ルパートの低い声が耳元で囁いた。灼ける息が耳たぶを撫で、背筋に小さな震えが走る。

外では、クルーズとその手下たちが扉まで辿り着いていた。

「どこへ行った? 確かに影がここへ滑り込むのを見たぞ!」

「クルーズ・ラッセル様、こちらはルパート・ラッセル様とダイアナ・ラッセル夫人...

ログインして続きを読む