第156話不運な暗殺者

マックス・テイラーは客室乗務員の手にある救急箱を見つめ、目立つ赤い十字の印に一瞬だけ意識を奪われた。

ほんの数分前、機内で乗客が突然具合を悪くしたのだ。幸い救急箱には適切な薬が入っており、しかもありがたいことに、ちょうど着陸態勢に入るところだった。これが離陸前か、離陸して間もないタイミングで起きていたなら、マックスは苛立ちを抑えきれなかっただろう。今回の任務は、彼にとって何より重要だったのだから。

もちろん、あの一億ドルの懸賞金には心が動く。だが、そんな天文学的な額を払う気のある依頼人が現れるまで待っている時間など、彼にはない。癌だった。死にかけていた。命をつなぎ止めるためには金が必要だっ...

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