第174話かわいそうな小さな犬

グラント教授は、ほんの少しためらっただけで、オリヴィアにメスを手渡した。

この犬と飼い主にはどこか威圧感があったが、グラント教授は以前にもオリヴィアの手術を見たことがあり、彼女に相当な執刀経験があるのは分かっていた。しかも去勢はとりわけ難しい処置ではない――オリヴィアなら十分こなせる、と確信していた。

「この機会をくださって、ありがとうございます、教授」

オリヴィアはメスを取り上げながら、笑いそうになるのをかろうじてこらえた。

グラント教授は、オリヴィアが言う「機会」とは、自分と夫の社交の輪を広げる助けになりそうな上流階級の女性と会えることだと思い込んだ。オリヴィアが言う「機会」が、こ...

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